最近のトピック:院長に第一子が生まれました!
ということで、より一層産前・産後・妊婦さんの体のケアに力を入れております。
妊娠中や産後に訴えが多いのが、手首の痛みや腱鞘炎です。
子どもを抱きたくても痛みが酷すぎて抱けない・・
こんなに辛いことはないですよね。
実は女性に腱鞘炎が多いのは、抱っこや手を使う作業が多いから・・だけではないのです。
女性特有の体内環境の変化が影響していると言われています。
そのことを知らないと、いつまで経っても治らない・・だけで苦しくなってきます。
是非あなたの体のことを知って下さいね。
手首が痛くなる2つの疾患
ド・ケルバン病
いわゆる「腱鞘炎」というと主にこの疾患のことを指します。
指先(に限りませんが)を動かす筋肉の腱は、「腱鞘」という「鞘(さや)」の中を通ることで、筋肉と皮膚・骨との摩擦を軽減しています。
しかし、何かの拍子でこの鞘が腫れて分厚くなるか、腱が腫れてしまうと、本来摩擦を軽減してスイスイ―っと通っていた腱が、鞘の中で引っかかるようになってしまいます。
これは、武士が剣を腰に付けた鞘に差し込む動作に例えられますが、剣もしくは鞘がさび付いて、スッと差し込めない状態を想像して頂くと良いかと思います。
これを繰り返していると、スムーズに動かないところを無理やり動かしていることになるので、どんどん腫れが増していってしまいます。
この状態で痛くなったものを「腱鞘炎」といいます。
ド・ケルバン病とは、親指を伸ばしたり外に広げたりする筋肉で腱鞘炎を起こしたものを言います。
酷くなると、親指を掌に握れなくなったり、お箸も持てない状態となります。
手根管症候群
手根管症候群の主な症状は、手首から先が痺れたり、むくんで握れなくなることです。
指先を握る筋肉は、肘の内側から伸びてきています。
肘から指先に来た筋肉は、手首の手の平側にある「手根管(しゅこんかん)」というトンネルを抜けて指先に到達します。
実はこの手根管の中には、指先を動かす筋肉とともに、神経と血管も一緒に通っています。
手根管症候群とは、手や指先を動かし過ぎた際に手根管が腫れて、神経や血管を圧迫して起こる症状を指します。
この時の手根管の中を超音波診断装置(エコー)画像で確認すると、手首の中にも水が溜まっていることが確認できます。
手根管症候群もド・ケルバン病と同様に、酷くなるとお箸やお茶碗が持てない程痛くなる時もあります。
その他に、指先にひびく痺れや、指先の冷感、むくみを来すことがあります。
手首の痛みが女性に多い理由
女性ホルモンの作用
実はこのド・ケルバン病や手根管症候群、腱鞘炎は、女性ホルモンにアンバランスによって発症するとも言われています。
ですので、妊娠中や出産後、閉経時期や更年期の方は、手首周りの痛みや指先の痛みを訴えることが多いのです。
この時期に子どもの抱っこや家事などで手を使うことが多くなると、更に痛みを発症しやすくなります。
しかし、なかなか手を休められないのが辛いところ・・。
当院の治療方針は、痛みが強い場合は炎症を抑えるような高周波電気治療と肩や肘から先のマッサージで筋肉をほぐします。
寝れない程の痛みの場合は、アイシングを自宅で行って頂き、指先を動かさないような固定具を使用して頂きます。
腱鞘炎の場合は、炎症部位を使っているといつまで経っても治らない・・どころか、どんどん酷くなってしまうので、我慢し過ぎないように気を付けてくださいね。
全身筋力が少ない
男性に比べて女性は全身の筋肉量が少ないのです。
これがどう腱鞘炎に関わるかというと・・。
人の体は、基本的には体の中心から動くことがメインになります。
例えば、手を挙げる動作を取っても、初めにお腹や背中周りに力が入り、その後に肩がの力を使って腕を挙げていきます。
ところが、もしお腹や背中に力が入らなかった場合、なんと肩から先、今度は肘や手首を過剰に動かして手を挙げる動作を行います。
このように、体の中心の筋力低下がある場合、体の末端の筋力を必要以上に使ってしまっているのです。
ある助産師さんがこう仰っていました。
「昔は出産後に子どもを抱いて手が痛いなんて言う方はごく一部だったんだけど、最近のお母さんたちは手を痛める子が本当に多いんです!」と。
これは若年層からの運動量低下に伴い、全身筋力が弱っていることが原因では?とお話しをいただきました。
まとめ
いかがでしたか?
ホルモン作用はある程度避けられない問題かもしれません。
しかし、筋肉量を増やして体を効率よく使うことは誰でも出来ます。
当院では現在でも、妊娠・出産に向けて運動されている若い女性の患者様が急増しています。
皆さん口を揃えて「出産前に筋力をつけておきたい」と言って頂けます。
私も感心するくらい、非常に意識が高いですよね。
痛みがある方はもちろん、1日でも早くお体の対策を取って下さいね。