日本人の80%以上が持ってると言われる腰痛。
当院には毎日のようにご相談に来られます。
患者様とのお話の中でよく耳にする大きな間違い。
それが、
「コルセットを巻くと筋力が落ちるって聞いたから使ってないです」
ということ。
これには大きな落とし穴があるのです。
当院ではコルセットを積極的に使ってもらう時期と、徐々に外していく時期を指導させて頂いております。
コルセットを使う重要な理由とは。
コルセットの本当の役割
腰のコルセットを長期間継続的に着用していると、確かに筋力の低下、もっと具体的に言えば、筋肉の機能の低下が起こります。
本来使わなければいけない筋肉の代わりをコルセットがしてくれるため、お腹を支える筋肉の働きは徐々に悪くなってしまいます。
(※コルセットを付けていなくても筋力低下が起こる可能性はあります。詳しくは次の章で。)
しかししかし!なんと、痛みを我慢してコルセットの使用を拒んでいると治るはずの腰痛が治らないのです。
実はコルセットの本当の役割は、お腹の筋肉の代わりをするよりも、腹圧を上げるという大事な役割があります。
腹圧を上げることで、腰の背骨を支える力が高まり、腰痛が軽減されます。
コルセットを付けると腰痛が楽になる。という「感覚」があることが重要なのです。
逆に、コルセットをしても楽でもないし辛くもない。こういう場合は付ける必要がありません。
筋力低下よりも恐ろしい!コルセットを使わないと慢性腰痛がさらに悪化する理由
コルセットを付けると楽。だけどコルセットを付けると筋力が落ちるからよけい悪いんじゃないか・・。
痛みと筋力低下を天秤にかけた時には、当院では必ずコルセットを着けるように指導させて頂いております。
その明確な理由は、痛みを我慢していると体や脳が痛みを感じやすくなり、治るはずの腰痛が治りにくくなってしまうからです。
体のどの部位でも、痛みを1カ月以上我慢していると、痛みを発している部分の神経が敏感になり、通常では痛くない動作などでも過剰に痛みを感じやすくなってしまうと言われています。(当院患者様には「閾値(いきち)」という専門用語を使って説明させて頂いています)
体の痛みを改善していく中で、「日常生活の中で痛くない時間を作る」ということは非常に重要なことなのです。
ちなみに、痛みを慢性的に感じているだけでも筋力は落ちますので、コルセットが原因で筋力が落ちているかどうかは定かではありません。
これを踏まえてコルセットの役割を考えてみますと、
コルセット有りで痛みを改善できる(筋力は落ちる) > コルセット無しで痛みを長期間引きずり治癒しにくくなる(筋力は同様に落ちる)
と考えると、やっぱり痛みを感じる時期、そしてコルセットを付けることによって症状が改善するのなら付けた方が良いのです。
まとめ(筋力はどーするの?!)
コルセットをしていても筋力は落ちる。
コルセットをしていなくても、
・体に力が入らない
・腰に負担が無いようにかばいながら動いている
というだけで、確実に筋力は落ちています。
結局腰痛を長引かせると筋力は落ちちゃうのですね。
ですので、腰痛治療の最も大切な順序!
①痛みを最短で軽減する方法を取る(治療、ストレッチ、コルセットの着用など)
②痛みが引いてきたら筋力を付けて腰痛予防をする(ストレッチ、筋トレ、コルセットは徐々に外す!)
この順番を逆転させてしまうと、腰痛はいつまで経っても治らない、一旦治ってもぎっくり腰を繰り返してしまうという、負のスパイラルにはまってしまいますので、痛みを我慢してコルセットを付けない、痛みを我慢して無理して運動している、という方は、要要要注意してくださいね。