膝が痛い方の8割以上は膝の内側に痛みを覚えることが多く、変形性膝関節症も膝の内側に起こることが圧倒的に多いです。
中でも変形性膝関節症と別で、または一緒に起こしているのが、鵞足炎(がそくえん)。
足を挙げるのも、着くのも痛い・・!
しかしこの鵞足炎は整形外科では指摘されないことがほとんどです。
その理由は、レントゲンでは写らないから。
膝痛の方に意外と多い鵞足炎とは・・。
変形性膝関節症と間違いやすい鵞足炎(がそくえん)
一つ目の特徴は、鵞足炎は変形性膝関節症と間違いやすいということ。
鵞足炎とは、膝の内側の筋肉の付く場所で炎症を起こして、歩くたびに膝に痛みを出す疾患です。
この場所には太ももの前・内・後ろから、それぞれ3種類の筋肉が双方向から1か所に付きます。
歩く動作やしゃがみ動作などではそれぞれの筋肉が引っ張りあうため、3方向から筋肉が付いている付着部には一気に負担がかかります。
これを繰り返していると、筋肉の付着部で炎症を起こし、時にはパンパンに腫れ上がり、膝に激痛を起こします。
足を挙げる、足を付く動作で膝の内側に激痛が走るため、「膝の関節が腫れている!」と思いがちですが、実は膝の関節自体は悪くありません。
筋肉の炎症ですので、関節の変形が無くても、若い方でも起こり得ます。
ちなみに「鵞足」とは、鵞鳥(がちょう)の足を表しており、3方向から筋肉が膝にくっ付くところが鵞鳥の足の形をしているところから名付けられています。
内股の人にも がに股の人にも多い鵞足炎
膝の内側に負担がかかる歩き方をしている方には大きく分けて2パターンあります。
特徴の2つ目は、内股の人にもがに股の人にも多いということです。
内股歩きで鵞足炎になる
内股歩きで膝の内側に負担のかかる方の特徴として、膝は内向き・つま先は外向きという特徴があります。
想像しにくいかもしれませんが、女性で、特にハイヒールを上手く履きこなせていない方に多い歩き方です。
綺麗に歩こうとしてつま先は外向きで着地するのですが、膝が支えきれず内股になってしまうパターンです。
すると、体重が掛かった際に膝が内側に落ちてしまい、膝の内側の筋肉に強烈に負担が掛かってしまいます。
がに股歩きで鵞足炎になる
がに股は男性に多い歩き方です。
つま先も膝も極端に外を向いて歩いています。
膝が外を向いて歩いていると、本来太ももの正面の大きい筋肉を使って足を挙げる動作が、太ももの内側の細い筋肉を働かせて足を挙げるようになります。
すると、本来なら長時間の歩行にも耐えられるはずの筋肉が、早くから疲労しきってしまい、炎症を起こしてしまいます。
膝の内側のちょっと下が痛い
鵞足炎の特徴の3つ目は、膝の内側の関節のちょっと下が痛いということです。
少し触っただけでは分かり辛いかもしれませんが、「鵞足」と呼ばれる筋肉が付く場所は、膝関節の下にあります。
ですので、我々が痛みの箇所を特定する時には、膝の関節を押していたいのか、膝の関節の下の鵞足部を押していたいのか、触ると一目瞭然です。
しかし、残念ながら整形外科ではレントゲンだけの判断だけで、実際に痛みの箇所に触れて確認することは少ないようです。
しかも、この鵞足炎の炎症はレントゲン写真には写りませんので、なおさら見落とされがちになります。
一般の方には、関節か、関節の下か、という判断は難しいですので、お困りの方はご相談いただくことをおすすめしています。
まとめ
鵞足炎は、膝が痛いと訴えてくる患者様の中でも非常に多い疾患です。
しかし、なぜか他の治療院や整形外科では指摘されることが少ないようで、当院で初めて知ったという方も少なくはありません。
鵞足炎は筋肉の炎症ですので、骨や関節の痛みに比べて治りが早いです。
今まで関節に注射や湿布を貼って治らなかった方が、鵞足炎をきちんと施術したら数回の施術で痛み無く歩けるようになり、正座が出来るようになる方もいます。
なんでもかんでも関節のせいにだと思わずに、しっかりと原因を見極めてくださいね。